寄木細工の原点、奈良正倉院の木画箱(もくがのはこ) |
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東大寺の正倉院には聖武天皇(701〜756)のご遺愛品を中心とした宮廷用品が納められています。
これら宝物は長らく勅封されて一般の目に触れることはありませんでしたが、正倉院には日本の伝統工芸のルーツがあります。 |
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箱根寄木細工のルーツは正倉院の木画箱(もくがのはこ)と言われています。展示されていた「檳ろう木画箱」は、長方形の印籠蓋造(いんろうふたつくり)、床脚付の献物箱で、檜の心材の表面を木画で飾っています。
蓋表は黒檀(こくたん)の界線で区画し、面取り部には檳樃樹(びんろうじゅ)を嵌め、中央部には、ビンロウジュ・クワ・ツゲ・シタンの菱形の小板を嵌めて石畳状の幾何学文を表しています。
これら木画には、黒斑(くろまだら)の多いビンロウジュ、褐色のクワ、淡褐色のツゲ、黒紫色のシタン等色目のちがう木材がたくみに組み合わされてモザイク文様の効果をあげています。 |
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有色天然木材を寄せ集めて、モザイク模様に仕立て上げた木画箱(もくがのはこ)は箱根寄木細工の考え方とまったく同じです。
寄木細工の始祖といわれる石川仁兵衛(にへい)(1790〜1850)は古代の寄木の発想を受けついた希有の職人です。 |
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・檳ろう木画箱(びんろうもくがのはこ) |
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[平成2年正倉院展より](中倉) |
・石畳状の木画箱 |
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