糸かがりで表現するふる里の手まりは、母から伝わり子へ受け継がれました。
　藍色の濃淡で描く日本の伝統美の藍手まり。二輪の乱菊に五輪の帯模様の乱菊。
　古代中国の思想で、菊の花は、”不老長寿の仙薬”とされています。日本でも平安時代から重陽の節句（旧暦九月九日）に、菊の芳香と高貴な気品によって邪気をはらい、寿命を延ばすと菊酒を飲む風流な行事が残っています。

　菊の花言葉は「高貴」、大・中・小の花弁が大胆にそして繊細にグラデーション表現されています。 一本一本藍糸をくけて作ったかがりの模様がとても精緻で、伝統的な菊刺しの模様です。

　日本人が好む藍染めは、ジャパンブルーとして海外でも知られています。欧米でも青にちなむ習慣があります。
　マザーグースの歌にあるサムシング・フォー (Something Four) は、結婚式で花嫁が4つのものを身につけると幸せになれるという言い伝えです。
　なにかひとつ古いもの、なにかひとつ新しいもの (Something old, something new, )
　なにかひとつ借りたもの、なにかひとつ青いもの (something borrowed, something blue, )
　青は純潔を表しています。藍染めの青は不思議な魅力を伝えてくれます。