籐の籠は「唐物と言われる精緻な物」と日常的な「ざる目・網代・荒組みの物」に分けられます。
家伝の「花結」は精緻で華やかですが、長崎さんが今考えるのは、”籠は入れ物であり邪魔になってはいけない”。むしろ素朴な「ざる組み」や「荒組み」に風合いがあり、それを追求しているとの事です。
基本的な編み方でもその職人の技量の良し悪しが分かるとのことです。
「入れ物以上に目立ない調和の取れた籠、入れ物がなく籠だけになっても風味のある籠」。そんな籠を目指しています。
”返すがえす初心忘れるべからず・・”。「風姿花伝」に伝える世阿弥を思い出します。世阿弥は”一子相伝”について、「一子であっても無器量の者には伝えない」、「家、家にあらず。次ぐをもって家とす」。「人、人にあらず。知るをもって人とす」とも言っています。・・・”知る人のみが技を継ぎ、家業は知る人が継いで家業と言う”と伝えているかもしれません。 |