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無患子はその名の通り"子供が患らは無い"として縁起がよく神社やお寺ではおなじみの木です。
ところが古都鎌倉にはなく、奈良・京都の神社仏閣でも見ることができません。 |
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横手神社 |
無患子(ムクロジ)の実 |
無患子(ムクロジ)の実の種 |
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埼玉県日高市の横手渓谷は、東京の池袋から西武池袋・西武秩父線の高麗(こま)が最寄りの駅で、約50分くらいの所にある自然に恵まれた地域です。
高麗といえば、最近では”巾着田の彼岸花(曼珠沙華)”で有名です。
由緒ある土地柄で、その昔高句麗の人々が渡来し集落を築きました。 高麗川(こまがわ)をせき止め、何年もかけて丁度がま口の形をした開墾地を作ります。広大な開墾地は巾着田(きんちゃくだ)と名付けられました。その堤の周囲にには上流から流れ着いた彼岸花が群生しました。 |
ふきのとう |
季節は早春!
友人のOさんの案内で、高麗駅から横手渓谷沿いに自然を楽しむこととしました。
道端や空き地にはふきのとうが顔を出しています。
村のはずれに、まるで昔話に出てくるような古い神社がありました。
猿田彦神(天孫降臨の道案内人)を祭った横川神社です。
「無患子の木があるよ」
「エエッ」 |
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さすがに由緒ある土地柄の住民Oさん、無患子の木のことがわかっています。小さい境内には無患子の実がいっぱい。あわてて実を拾い。境内の水を使い洗っていると、おばあちゃんが近づいてきました。おばあちゃんも無患子の実を拾い始めました。
「昔はこの実で羽をつくったんよ」
やがておばあちゃんは歌を唄いはじめます。 |
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一人きな二人きな♪
三人きたらよ「四」ってきな
い「五」つ来てみても♪
ななこの帯をや「八」の字にしめて
されこけ♪
いったんよ♪
"されこけ"は、転んだではなく、何々されたという受身の意味。"いったんよ"は、おしまいとか、行ってしまったという意味です。
羽根突きの歌で、三人から四人で遊んだようです。おばあちゃんの子供のころは昭和のはじめ、歌は素朴ですが哀調を帯びています。
この歌はどんな意味があるのでしょう? |
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女の子はいつも着物にたすき掛けの帯をしています。子守でしょうか家のお手伝いでしょうか。そして着物をいつものたすき掛けにして誰かに連れられて行ってしまった。
そんな光景が浮かんできます。
昭和の初期は、みな生きるのに精一杯だったのでしょう。その頃子供だったおばあちゃんは八十をとっくに超えていますが、口も達者、足も達者で一緒に横川渓谷を歩き、地元の話をしてくれます。 |
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実を水につけ洗い始めると泡だって手もキレイになります。
羽根突きに使われる無患子の実には、サポニンが含まれ発泡作用があります。シャボンとか洗濯に使われていたそうです。
夏に実をつけた無患子は、十二月頃から落ちはじめ、この実を拾い羽を作って羽根突きしたそうです。実際は、二月頃までへばりついた実がしっかりしていて羽根突きに適しているようです。
無患子の木は、大木化するし落下する実の量が半端でなく切り倒してしまう場合が多いようです。
横川神社の無患子の木は、おばあちゃんの思い出であり、村の文化を象徴しているようです。 |
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